ネックのお話。
ネックのお話。
ネックは、指板側とグリップ側から木材を削って作ってあります。
木材というのは、削った側に反るという性質があります。
ネックの形状を見ていただければわかると思うのですが、指板側よりも、ネックグリップ側を多く削らないとネックの形になりませんよね?
ということは、ネックは何も考えずに作ると、逆反りするのです。
この問題に、柔らかいネック材を使うことで対処しているメーカーは普通だと思います。
こうすると、ネックグリップの修正と指板整形を繰りかえさなくても、弦を張れば、逆反りは解決する。
この様な生産形態を持つメーカーの製品で、リプレイスメントネックの材質をオーダーでチェンジできるものがあります。
その標準のネック材が、柔らかいロック(ハード)メイプル。
それよりも硬質の材にチェンジしたところで、材によって作り方を変えてくれるって事は無いです。
なので、この工法(ネックの逆反りの解消はネック材の柔らかさに任せる)を採っているメーカーのネック材を、メーカーがスタンダードとしている材より硬い材に変更して、ネックを製作してもらった場合、弦を張っても逆反りのリスクが非常に高い製品になります。
完成品を売るメーカーの製品(組み込みまでやるメーカーの商品)でも、勿論問題は出ます。
しかし、組み込みという工程が社内にあると、ネック完成から組み込みまでに時間がある事、ギター完成後に検品がある事で、不良品を発見できる確率も高いのです。
組み込み作業が無いメーカーの品ならば、エラーが出る確率は完成品を売るメーカーと同じでも、社外に出る前に撥ねられる率が低いので、表に出てしまう回数が多くなります。
それに+して、オーダーネックのように売り先が決まってからネックを作る場合、在庫期間があり得ません。
これも、不良品の発見率を下げていると思います。
メーカーの云う厳選された木材というのは、こういう生産形態に合った材の事です。
だからこそユーザーの皆さんは、メーカーに肖(あやか)るのではなく、メーカーとは異なる目線、評価軸を持たないといけません。
メーカーの生産形態に合っている材が良いと言ったところで、皆さんの手に渡った商品は、生産された後のものなのです。
皆さんは使う人であって、作る人ではありません。
皆さんの手に渡った時には、材の性質が役に立つ時間はもう終わってます。
音質補正の中の、ネックの補強作業。
この代金を浮かせるために、リプレイスメントネックメーカーのウェンジ材のネックを購入される方が何人かいました。
リプレイスメントネックをオーダーされる場合、フレット無しの状態でオーダーすればギターの完成度は上がります。
指板の修正と、ネックセット面の修正、そしてフレット打ちをこちらでやるからです。
その代金がかかるのと、フレット無しでオーダーしても、リプレイスメントネックは安くはならないって問題が出ると思います。
その辺りについてもご一考願います。