ハカランダ
ハカランダ
この材料は楽器において、主にギターの指板材、アコースティックギターのサイドバック材として使われる事が多い材でした。
この材が貴重であるとご存じの方も多い筈です。
この材の取り扱いについて、正直な所を書いておきたいと思います。
先ず、この材は、ギターを作る人として、非常な心苦しさを覚える材です。
理由を先に述べますが、貴重材なのに無駄使いしかされていない傾向が高すぎるからです。
一体どういうものなのか分からないから、一つは持っておきたい・・・という気持ちは理解できます。
この気持ちに乗じた商品に使われ過ぎだと思います。
非常に勿体なく感じます。
しかし、私がいくら憤ろうとどうしようもありません。
そしてこの憤りが、伝わるとも思えないのが非常につらいところでもあります。
ギターの基本構造についての説明になりますが、ギターの音は、ギターで弦の音を濾したものです。
弦が出せる筈の音にギターの音が足されるから、弦を張ったギターからギターの音が出るのではなく、弦が出せる筈の音から、ギター内でロスする分の音が失われるからギターの音になるのです。
ギターのネック。
この部分の役割は、弦の振動に耐え、鳴らない事にあります。
鳴らないとは、弦の張力に影響されないという事です。
そしてアコギのサイドバック。
ここも、弦の振動に耐え、鳴らない事が求められる部分です。
つまり、ここでの弦振動のロスは望まれていないのですから、これらの部分が正常に機能すれば、そこの音はしないのです。
もし、これらの部分にハカランダが使用されている楽器からハカランダの音がしたら、その楽器は不良品です。
鳴ってはいけないところが鳴る楽器なんですから。
これはギターの基本構造の説明です。
ハカランダに興味を持つというのは、こういう事が解らないからではないですか?
ギターがある程度解っていたら、そこは音に無関係なので、凝っても仕方がないと解る筈です。
関係があったとしたら、製作技術的に達していない不良品なんで論外。
こういう事が解らない人向きに、客寄せに使用されるのが現状となってしまっている材なのです。
貴重材なのに、無駄遣いする人にしか届かない、悲しい材なのです。
こちらではそんな無駄遣いは絶対にしません。
その為には、皆さんにもギターに対しての理解を深めていただく必要があります。
ハカランダとは、こういう話をまどろっこしく感じる人が、考えたり行動するのを回避しながら、問題を解決したつもりになるのに「良い材」なのです。
勿論こんな風にハカランダを使ったところで、何も解決しないどころか、材としては減って行く一方なのです。
解決されるべき問題が何なのかも把握していないのに、その解決すべき問題が自分にも関係あると思い、それでいて自分は問題を起こしている側にいないと思い込んでいる人が多いから、こういう事になるのです。
問題を把握出来ないのなら、その人の世界には、元々問題自体が無いのです。
ハカランダは、その無い問題を解決するためだけに消費されるのです。
これは端的に言って、捨ててるのと同じです。
人間、そこまでやって良いものなんですかね。